日本語教師養成過程における、教室活動に関する指導項目は、常に抽象的な形で示され、後は試行錯誤を通して経験を積むのを待つか、先輩教師の秘術を盗みとるという形で行われてきた。近年教師のトレーニングとディベロップメントがやかましく言われ、ともすればディベロップメントに比重がおかれる傾向が強いが、基礎的な技術トレーニングの内容を具体化することが軽視されてはならないと考える。 本研究は、教師養成課程終了段階で、最低限型通りの指導技術を身につけさせる為の基礎研究であり、具体的には、現役教師の教室活動と教育実習生の模擬教壇実習をVTRに収録し、1)訂正 2)質問 3)文型の意味の提示 4)文型の機能の提示 の4点について、具体的な教室活動方法を観察し、類型化した。 実習生の教室活動についての分析(鈴木・筒井1993)とベテラン教師の教室活動のVTR分析とを比較することで、教師養成の為に必要な教室活動の技術を具体的に記述し類型化することが、ある程度できたと考えている。今回残された作業として、教室実習前に訓練しておくべき教師の話し方をシラバス化し教師トレーニング用の教材を作成することが挙げられる。
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