研究概要 |
ランダムな大きさの球が空間にランダムに配置されている.観測可能なのは検査平面により球が切断されできた切断円とする.これはステレオロジーの中で古典的なWicksellの小球問題である.このとき,検査面上の切断円の観測データから与えられた体積中の球の最大寸法を予測する問題を考える. 今年度は,空間の球の大円面積が一般ガンマ分布に従うというパラメトリック・モデルを考えた.そして,与えられた体積中の球の最大寸法を予測する問題について研究し,次の結果を得た. 1.切断円面積の分布の裾の評価を行い,最大切断円面積がGumbel分布で近似できる事を示した. 2.各検査面での最大円面積(極値データ)から球の最大寸法を予測する方法(拡張村上法)を構成した. 3.拡張村上法を実際のデータに適用したところ,村上等の方法による結果と大差なかった. 4.シミュレーション実験により拡張村上法の制度について調べた.球の直径が指数分布に従う現実的な場合に,その精度は満足の行くものではなかった. 5.予測法の精度を良くするために検査面上の切断円の観測法を工夫した.観測法に応じて3種類の予測法を提案し,それらの精度をシミュレーション実験等で調べた.これらの予測法は,極値データのみを用いる拡張村上法よりも精度が良くなる事が分かった. 5.今年度は球の大円面積がベキ乗と形状パラメータが既知の一般ガンマ分布に従うと仮定した.これらのパラメーターが未知の場合の予測法とその精度,そして予測法の頑健性について調べる必要がある.また,セミ・パラメトリックモデルの下での予測法の研究も考えられる。
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