研究概要 |
上記の課題について次の3つの側面から研究を行った。 (1)influential subset問題へのロバスト法の適用の研究 (2)多変量解析のの感度分析のソフトウェアの開発 (3)新しい多変量解析法の感度分析の方法論の開発 まず、(1)に関して、共分散構造分析の場合について、標本共分散行列のロバスト推定(minimum volume ellipsoid estimator+iterative one step estimation)を用いた、これまで提唱してきた感度分析の汎用的方法のロバスト版を提案し、数値例よりその有効性を示し(Tanaka & Watadani,COMPSTAT)、さらに、シミュレーションにより詳細な検討を行った(Watadani & Tanaka,日韓統計会議)。(2)については、因子分析における感度分析のプログラムSAFのFORTRAN版および共分散構造分析における感度分析のプログラム(Quick BASIC版)SACS/Bを作成・公表した(長畑他、Watadani & Tanaka)。(3)の新しい多変量解析法としては、偏最小2乗回帰ならびに一部の変数に基づく主成分分析を取り上げ、それらの性能の評価を行うとともにそれらの方法における感度分析の方法論を開発した(Kim & Tanaka,Tanaka & Mori)。この間、記述的多変量解析への感度分析の適用を中心に統計数理研究所の林知己夫名誉教授、大隅昇教授らに、また、ソフトウェア作成について大阪大学白旗慎吾教授らに助言を頂いた。開発した方法論のソフトウェアを逐次作成・公表すること、制約つき主成分分析、multi-way分析など複雑な多変量解析法の感度分析の方法論を開発することが、今後の課題として残っている。
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