研究概要 |
1.数量化法第3類における人工的データ.第3類の方法論としての性能を検討するためには人工的モデルの利用が有用である.平成6年度の計画調書を提出した段階で,Iwatsubo(1984)の円形構造を持つ人工的データを一般化した円筒データ,円柱データ,円盤データについて,解析的な解(固有値とスコア)の研究は一段落して,学会における口頭発表はすんでいたが,始めの2つのデータはStatist.& Prob.Letters(1994)に,最後のデータはJ.Japan Statist.Soc.(1994)に論文として発表した.また,これらのデータに1次元または2次元の線形構造を持つデータを含めたサーベイ論文が追手門経済・経営研究(1994)に発表した. 2.第3類における線形特性のガットマン効果.1次元,2次元または3次元の線形構造を持つデータに第3類を適用すれば,各次元の主効果の他に,次元ごとに強度(2次効果),クロージュア(3次効果),インボルーション(4次効果)など,いわゆるガットマン系列が現れる.回帰分析の手法を用い,ガットマン系列を除いて主効果を取り出す方法(計算スキームをMath.Japon.(1994)に発表した。 3.第3類における人工的torusデータの解析.torusデータは2つの円形特性を持ち,実体torusデータはこれに円の中心を付け加えて半径を表す1つの線形特性をも持つ.このようなデータの解析において,各特性の解析的な解(固有値とスコア)を求めた.円周上の点の個数が増加するにつれて各円形特性は強くなり,固有値は増大して,ガットマン系列が弱い方の主効果を圧倒する可能性があることを見出した.
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