研究概要 |
本研究では,データベースの応用分野の多様化,および,データベースの知識ベースへの拡張に柔軟に適応することを目的とした並列型データベースシステムの設計を行ない,その核となる問い合わせ処理系の実現を行った。 具体的には,並列処理システムのソフトウェア・アーキテクチャの設計,および,関数型計算の並列実行機構のソフトウェアの設計・実現を行った。マシン・インタフェースとして,従来のような関係データベース言語あるいは関係データベース演算ではなく,応用固有の新しいデータ構造および新しい基本演算を定義し,それらを並列処理システム内に統合することのできる汎用的なインターフェース(言語)を設計した。関数型計算モデルにもとづくデータベース言語(データベース定義系言語,データベース操作系言語)の設計,および,並列処理システムを対象とした言語処理系の設計を行った。データベース定義系言語では,データベースのデータ構造および並列処理システム上で操作されるデータベース演算を記述するための機能を提供する。それらのデータベース演算を並列処理システム上で実行されるオブジェクト・プログラムへ変換する言語処理系の設計を行う。言語処理系は,高機能ワークステーション上で動作し,共有メモリ型並列マシン上で実行可能なオブジェクト・プログラムの生成を行う。 本研究では,この並列処理システムの有効性を解析するために,関数型計算モデルの枠組みのなかで,実際のデータベースおよびそれらを操作するためのデータベース演算群を記述し,実行する並列処理システムによって問い合わせの並列処理の実験を行った。
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