本研究は、従来、十分に性質が解明されていなかった遅延メモ化機構を定式化して、それをプログラムの部分評価機構として利用するという方法の有効性を検証することを目的とするものである。 遅延メモ化機構に基づいてプログラムの部分評価を行うことにより、プログラムの効率改善を図るというあらたな方法論は、これまでの部分評価の考え方とは大きく異なっている。 従来の部分評価(部分計算)においては、特化された部分計算機を用意して、プログラムを変換するものであったが、本研究では、関数プログラムの完全遅延評価によって、通常の評価系によって自己改良がなされることに着目したものである。この考え方は、研究代表者と共同研究者が提案したものであったが、完全遅延評価系で部分評価を行うにはあらたな機構が必要とされることが判明し、本研究ではそのための遅延メモ化機構を提案して、その有効性を確認することを目的とした。 遅延メモ化機構については、これまでには十分な系統化がなされていなかったが、本研究では、完全遅延評価との関係を明確にし、プログラムの評価系に組み込んで、部分評価系の実現に有効であることを確認した。これらの成果は数編の論文にまとめて公表した。これらによって、当初の目的は達成できたものと考えられる。
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