研究概要 |
昨年度までの研究で,テストデータ生成問題の理論的な研究に関する枠組を作り上げ,その上で,どのようなNP型問題の,テストデータ生成が難しいのか,あるいはどのような点が難しいのかを明確にしてきた.本年度は,そうした枠組の中で,具体的なNP型問題に対するデータの生成手法を研究した. これに関しては,代表的なNP型問題である.論理式の充足可能性問題(SAT)に対して,テストデータ生成法の原理を考え,その有効性を理論的に示した.さらに,その有効性をワークステーション上の実験により検証した.以上の成果を,現在論文にまとめている最中である.なお,当初予定していた他の問題(例えば,グラフに関する問題)に関しては,導入的な研究しか行なえなかった. 一方,テストデータの生成手法の研究から発展して,その背景である平均時計算量の研究も行なった.その中で,NP探索問題とNP最適化問題の間に,かなりの隔たりがあることがわかってきた.しかも,その違いを,テストデータの生成の難しさの違いによって特徴つけることができた.この成果は以下の論文にまとめられている. R.Schuler and O.Watanabe, Towards average-case analysis of NP optimization problems, in Proc. 10th Structure in Complexity Theory Conference, IEEE, New York, 148-161(1995).
|