研究概要 |
本研究の目的は,ラムダ計算の枠組の中で研究され理論的に洗練されたプログラミング言語の型理論を基本的な枠組として用いて,将来のソフトウエアシステムを信頼性を持ってしかも効率良く構築可能にするプログラミング言語の設計理論を構築することである本科学研究費の交付対象期間内では,特に,以下のテーマを研究する。1.多相型プログラミング言語のコンパイル理論.2.オブジェクト指向データモデルのビューの概念の形式化.3.並列分散環境下のプログラミングシステムのための型理論.4.さらに,以上の各研究成果を統合した言語の設計の研究を行なう。 平成6年度は,以上の1,2,3の基礎理論の研究を行なった。1については,レコード構造を含んだ多相型言語のコンパイルに関する満足いく理論をほぼ完成し,“A Polymoprhic Record Calculus and its Compilation" by A.Ohoriと題する論文にまとめた。今月中に著名な国際論文誌に投稿予定である。2に関しては,オブジェクトとオブジェクトのビューを定義する機構を持った型付きラムダ計算を定義し,それが望ましい性質を持つことを示した。成果はデータベース理論に関する主要な国際会議である,ACM Symposium on Principles of Database Systemsにて以下の論文として発表した。“A Polymorphic Calculus for Views and Object Sharing"by A.Ohori and K.Tajima.現在,理論をより拡張したものを国際論文誌に投稿すべく準備中である。3については,分散メモリー型超並列計算機のための高水準プログラミング言語開発の基礎を与える目的で,再帰関数の並列評価が可能な型付きラムダ計算の理論を構築した。成果は国際ワークショップTheory and Practice on Prallel Programmingにて,平成6年11月に以下の論文“A Calculus for Exploiting Data Parallelism on Recursively Defiend Data",by S.Nishimura and A.Ohori.として発表した。現在,理論をより拡張したものを国際論文誌に投稿すべく準備中である。
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