研究概要 |
大規模な並列計算の応用分野を拡大するためには,非データ並列計算問題の並列プログラム作成技術がなくてはならない.計算の性質が不均質・非同期的な非データ並列計算の並列処理は,従来から取扱いが難しく,系統だった研究がほとんど進んでいなかった. 本研究では,1)知識処理の並列化の研究から生まれた,並列オブジェクトモデルに基づくプログラム手法とそのための言語機能を非データ並列計算向けに再整理・一般化すること,2)それらに基づく非データ並列計算の並列プログラム化手法とそれを支える言語機能を開発すること,3)その手法が使える並列オブジェクト指向言語を設計し,並列処理効率の高い言語処理系を試作すること,4)さらに開発した言語を並列応用プログラムに適用・評価することを行い,非データ並列計算の並列プログラム化に新手法を提供した.以下の成果は5本の論文に発表した. 並列オブジェクト指向言語mosaicの提案: 前記1),2)の成果である.暗黙のプロセッサ間通信,プロセッサ指定pragma,メッセージ優先度指定,C言語の書き易さなど,非データ並列計算向け機能と高い処理効率を実現した. 未成年オブジェクト機能とプログラム手法の提案・評価: 前記2)の成果である.上記言語の特徴的機能として,オブジェクトの生成とメッセージ送信の間の逐次性を排除できる新機能およびプログラム手法を提案した. mosaic言語処理系の設計と実装・評価: 前記3)の成果である.数万個以上のオブジェクトを効率良く実行できる言語処理系の実現手法を開発し性能を確認した.複数の並列計算機で利用可能である. mosaic言語を用いたプログラム手法の開発と並列応用プログラムの開発: 前記4)の成果である.2種の規模の大きい並列応用プログラムを開発し,記述性と処理性能の高さを確認した.
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