本研究は、「自己組織化+外部からの強制情報」という結合系により、知的情報処理を可能にすることを目的としている。対象としてはディジタル画像を選んでいる。このとき、自己組織化による画像処理は、サブシンボリックな処理であり、強制情報の注入はシンボリックな操作に関連するとみなすことができる。従って、本研究の意図は、シンボルとサブシンボルの結合処理を目指したものである。具体的には、一枚の静止画像を強制情報により変形した別画像を生成し(知的外挿)、さらにはモ-フィングを行って動画像を生成することを行う。また、より一般的な「自己組織化+教師あり学習」のアルゴリズムの開発も目的としている。 上のような目的に従って得られた成果は次の通りである。 1.多重降下競合学習により最適化特徴マップおよび色彩標本を得た。この色彩標本は、特定の画像に依存するものではなく、広いクラスの画像に対して汎用の能力を有するものとなっている。これは、情報圧縮を行ったことにもなっている。 2.最適化特徴マップの頂点を外部知性が与える指定に基づいて移動し、そこに色彩標本を埋め込んで別の静止画像を得ることができた。 3.情報圧縮済みの二つの静止画像を用いて時間的に線形補間を行い、中間のフレームを得て動画像を生成した。これは、ニューロコンピューティングが、仮想現実およびマルチメディアに手法を提供した初めての例となっている。 4.2次元の静止画像にz軸を与えて、3次元の動画像を生成するアルゴリズムを得た。これは、当初は計画していなかった成果である。
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