1.通信管理機能の開発については、分散GAを具体的な例とする分散した思考プロセス間の強調を図るため、ソケットによる通信機能をPrologに組み込むとともに、送受信データの管理などに関する通信管理機能を開発したことで、目的はほぼ達成されている。この方法によって、Prologによる論理プロセスとCなどの手続き型プロセスの協調分散や、論理プロセスの並列実行などが可能となった。 2.思考モデルの実行状態を表すパラメータの抽出とパラメータ値の表現については、視点の明確な記述が困難な場合に対し、ある視点に基づいて収集されたと考えられる事例を使い、視点を学習する方法を新たに開発した。この方法において、パラメータ値として数値に対する汎用的な遺伝子コード表現法を開発するとともに、Prologの(記号からなる)項に対するGA向き遺伝子コード表現の基本方法を確立し、思考インスタンスの実行状態をビット・パターンで表すことが可能となったことで、目的はほぼ達成されている。パラメータの抽出については、数値やPrologの項がビット・パターンで表現可能となったことで、パラメータを固定的に捉える必要がなくなった。そのため、抽出そのものは重要な問題ではなく、どれだけの項を用意するかということを考えねばならない。 実行状態の差異をビット・パターンで検出することについては、GAにおける適合度の概念を利用することで、2つのビット・パターンの良否が検出できるので、目的はほぼ達成された。この方法の拡張によって、2つのプロセスに共通な幾つかの目標の実行が「似た」状態になるように制御が可能となる。
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