昨年度までは、データベースからの分類規則の導出アルゴリズムを開発し、実際に医療データベースに適用し、その性能について評価してきたが、本年度は分類規則のみならず、ある診断モデル上に実装される三種類の規則をデータベースから自動的に獲得するアルゴリズムを開発した。 この診断モデルとしては、共同研究者の開発した頭痛及び顔面痛の診断を行うエキスパートシステムRHINOS(Rule based Headache and facial pain INformation Organizing System)のモデルを利用した。本システムでは医師の診断の過程には次の3つの診断論理が用いられているという診断モデルを立て、以下のような3種類のルールを専門家から獲得した。 Exclusive ruleはある疾患を疑うのに必要な所見を集めたものであり、Inclusive ruleはいわゆる分類規則に対応し、このルールの条件部は、問診および身体所見で構成され、これを満足する患者が対応する患者が対応する疾患である確率が高くなるように設定されている。Disease ImageはInclusive ruleで肯定された疾患について、併発症の論理を用いて、併発の有無を検討するものでこれは所見の中で対応する疾患が起る可能性のあるものをorで結合させ列挙したものである。 我々は本研究で上記のルールが集合論的な考えから形式化できることを発見でするとともに、これらが正確度と被覆度によって分類されうる確率的命題であることを明らかにした。この分類方法は簡単にアルゴリズム化することができ、我々はこのアルゴリズムに基づいて三種類のルールをデータベースから自動的に獲得する手法を開発し、実際の症例データベースによってこの性能を検討した。 結果として、当手法がきわめて効率的に三種類の診断規則を導出させることに成功した。
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