研究概要 |
コンピュータを使って会話システムを構築する試みは、自然言語理解の主要なテーマの一つである。一般に自然言語理解は、新聞記事や物語文、つまり、モノローグの理解を対象としている。これに対し、会話の理解はダイアローグの理解である。会話は、モノローグに比べ、それだけ文間にできるギャップが大きくなる。会話の理解(生成)システムをつくるときには、この文(発話)と文(応答)の間にあるギャップを埋める過程の解明が必要である。 本研究では、話題を電話によるカメラのショッピングに限定し、まず、実際の会話例の心理分析、言語分析を行い、その後、客と通信販売員との間の会話を成立させる会話システム(MODUS,Module Oriented Dialog Understanding System)を実現した。 MODUSは、リアリスティックな会話を成立させるため、とくに話題を制御することと、通信販売員が客の意図を推論することに重点をおいた。会話では話題がシフトする。どういう条件が満たされたときにシフトするか。単にイエス、ノ-の応対をするのではなく、相手が何を求めているかを推し量って合意したり、説明したり、質問したりする。MODUSでは、この過程を述語論理による知識の表現、プロダクションルール、スキーマによる意図の推論によって実現し、限定された範囲ではあるが、流れのよい、より自然な会話を成立させるシステムの構築に成功した。
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