研究概要 |
家電製品から専門的な計測機器まで,製品として市場に現れる全ての機器にはマニュアルが付属している.操作手順が複雑な機器が多い昨今,記述された操作手順と実際の機会の動作の一貫性を保つことや,国外向けのマニュアル作成のための翻訳作業などが非常に難しくなってきている.本研究では,上記の問題を解決する基礎技術として,日本語マニュアル文から操作手順などの知識を抽出する手法について検討した.特に,本研究では記述対象の領域知識には深く依存せず,逆に,言語表現自身の持つ語用論的制約を十分考慮する方式を研究した. 本研究によって得られた知見は,以下の通りである. 1.マニュアル文からの知識獲得システムに関する研究 構文解析器と論理型制約システムを組み合わせることにより,ゼロ代名詞の推定をおこなうためのシステムを構築した. 2.マニュアル文における条件表現に関する研究 個々の条件表現の性質により,主節の動作主を決定することができることを示した. 3.マニュアル文におけるアスペクト辞に関する研究 個々のアスペクト辞の性質により,文の動作主を決定することができることを示した. 4.論理型制約システムに関する研究 Prologプログラム変換に基づく論理型制約システムを構築し,これに否定表現を導入した.この否定表現が個々の言語表現の持つ制約を記述するにあたって有効であることを示した.
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