研究概要 |
本年度の研究計画調書に記載された三つの課題に関して以下のような研究成果を得た. 1.平成6年度に開発したIS-A知識ベースシステムおよびそれに基づくプログラミング言語の有効性を検証するために,「知識処理分野における応用システム」の開発を行った.具体的には,次の三つの応用システムを開発した. (1)柔軟な分配,検索,分類機構を有する電子メール管理システム (2)自然言語シナリオからアニメーションを生成するメディアコンバーアシステム (3)管理者の異なるネットワークドメイン間でのルーティングのためのポリシ-記述システム 2.上記の応用システムの開発の過程を通じて得られた知見をもとに,推論システムおよびプログラミング環境の改良を行った.具体的には,次の二つの拡張を行った. (1)推論システムに関しては,知識の変更の可能性を並列に処理するための多重世界機構の実現,自然言語の意味論に則した否定表現の導入を行った. (2)プログラミング環境に関しては,より多様な演繹オブジェクト指向プログラミングを可能とするために,知識にしたがって動的にマルチキャストを行う機構構造を変更する機構を追加した. 3.最後に本研究のとりまとめとして,システム全体の評価を行った.2で拡張した機能を用いて、1で開発したシステムの再開発を行い,IS-A知識を高度に利用することが可能であることを確かめた. 以上のように本年度は,IS-A知識を実際に利用するアプリケーション開発に重点を置いた.知的アプリケーションを構築する上で,IS-A知識の利用は今後ますます重要な研究テーマになるものと考えられ,二年間にわたる研究によって,この分野への先駆的な貢献ができたものと考えている.
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