パソコン通信ネットワークを運用するためのソフトウェアは、単独のホストで動作することを想定しており、そのソフトウェアの内部構造が明らかでないため、パソコン通信どうしや相互接続をパソコン通信とインターネットとの相互接続することを困難にしている。我々は、1993年に、大分大学とCOARAと間でTCP/IPによる電子メールの相互交換を可能にし、それを運用することにより、相互接続を考慮せずに設計されたパソコン通信ネットワークをTCP/IPで統一されているインターネットと相互接続するための技術的な問題を、明らかにしてきた。 我々は、本年、電子メールとならんで基本的な電子的コミュニケーション手段である電子ニュースを取りあげ、パソコン通信とインターネットとの間で相互に情報交換をできるように電子ニュース中継システムを作成した。パソコン通信のホストのソフトウェアの内部構造が明らかでないため、パソコン通信側に対しては、通常のユーザーがキーボードから打ち込むコマンドを自動的に送ることにより、また、インターネット側に対しては、電子ニュースシステムを管理するinewsコマンドを呼び出すことにより、ニュース記事の送受を行なっている。ニュース記事の消去等の記事個別の管理のために、インターネット電子ニュースシステムの「メッセージID」とパソコン通信の「発言番号」との対応表を作成、維持するようにした。 以上により、パソコン通信とインターネットとの間で電子ニュースの相互接続の基本的な枠組は完成した。しかし、1日に百数十メガバイトの記事がながれているインターネットの電子ニュースを全てをパソコン通信に送るのは、パソコン通信システムの想定をはるかに越えており、交換するニュースグループを制限せざるをえなかった。
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