研究概要 |
危険性を有する可能性のある廃棄薬品の排出、処理および再資源化を安全かつ効果的に行うために、廃棄薬品の安全性評価,分析,処理を統合したシステムを構築することを最終目的とし、そのための基礎的な検討を行った。 まず、廃棄薬品の安全性評価に関しては、最近煙火組成物の簡易打撃感度試験法として開発された方法の適用可能性を示し、また、自己発熱性試験としては、従来国連で採用されてきた試験法の問題点を指摘するとともに、SC-DSC(密封セル示差走査熱量測定)による昇温速度変化測定法を提案し、自己発熱性推定の可能性を示した。 また、廃棄薬品の分析に関しては、1993年度東京大学工学部において行われた、「不明薬品の調査および処理」における分析システムの問題点を検討し、安全性、信頼性に問題のある分析方法を改めるとともに、指定された有害物質含有の有無を確認するためのフロー、安全性評価に関する検討等を追加し、より実用性の高いシステムとして報告した。 さらに、爆発廃棄手法の確立では、爆発10g規模にてモデル物質を用いた予備実験を行った。そして、その実験結果の検討から、爆薬による爆発の特徴を生かした廃棄物処理として、爆発性廃棄物の処理方法を提案し、特に爆発性廃棄薬物を瓶等の容器に納めた状態で爆発分解し、爆発危険性を大幅に低減する方法について検討を行った。更に、爆発による化学物質の分解の適用範囲を調べるために、最小限の爆薬量で、安全に処理可能性を確認する方法として、起爆薬を用いた爆発分解処理実験法を開発した。
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