自動車事故の抑制には、運転者のエラーをバックアップする危険回避系を備えた先進安全車の実現が必須である。本研究では、この危険回避系のフエール・セーフ/フエール・オペラブル構成問題と安全性評価について検討し、以下の研究成果を得た。 1.自動車が対象物と衝突をするハザードに対して加速インタロッキング、非常停止および操舵制御バックアップを行う危険回避系のフエール・セーフ・フエール・オペラブル・システム構成の可否について検討した。 2.ドライバーの居眠りやよそ見などのヒューマンエラーによる追突事故を防止するためにトラックやバスで実用化され始めている車間距離警報装置の事故抑制効果を評価するためにフォート・ツリー解析を実施した。これより追突事故が1/3から1/4に削減できると結論された。また、同様の解析により、警報出力を自動車の停止装置に連結していわゆる非常停止危険回避系を構成した場合、追突事故が1/5から1/8に低減されると評価された。 3.大手のトラック運送業者では、交通災害保険をいわゆる自己保険としているため、自己の減少が利潤に直結している。このため車間距離警報装置の利用に積極性がみられる。しかし、個人ユーザでの導入をはかるためには、さらに装置製造コストの低廉化および保険料のディスカウントなどの措置が必要である。 4.コンピュータを用いたプログラマブル危険回避系では、技術革新が激しいため故障率など信頼性データが入手できない場合が多々ある。そこで、そのような危険回避系のフェール・セーフ・フェール・オペラブル・システム構成に従って、コンポーネントに近似的な統計量を与えて危険回避系の自己抑制力を評価するA-Cモデル構造関数法を開発し、先進安全車等へ適用を試みた。
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