本研究では、高齢化社会へ向かうなかで、整備が望まれている生涯学習情報のネットワーク化の研究を行った。また、ネットワーク整備の一環として、高齢者の「生きがい情報」を、どのように提供することができるか、さらに、こうした情報ネットワークが生涯学習の中でどのような役割を果たしうるかを、具体的に検討した。今回はそのパイロットスタディーとして、超高齢化の到来する雪国、新潟県を対象地域として研究を行った。 (1)生涯学習「生きがい情報」の発信側の現状調査について 生涯学習情報として、現在の種類、規模、地域の範囲などについて、基礎的なデータを収集した。また、高齢者の生きがいを求める要望に、どのように対応するシステムを考えているかを聞き取り調査した。 (2)「生きがい情報」の需要者側の実態調査について 新潟大学で開催した公開講座の参加者(平均年齢57歳)へアンケートをおこない、個人が実際にどのくらい生涯学習「生きがい情報」に関心を持ち、それに対して、現状ではどのようにアクセスしているかを調査した。 (3)雪国新潟県における、発信側と需要者側を結びつける「ネットワーク」システムの考察 雪により冬場の行動が制限される新潟県で、利用が期待されるパソコン通信を中心とする、マルチメディア機器類の所有率や利用意欲の調査を行い、ネットワーク・システムの考察を行った。 新潟県では、「生きがい情報」は市町村単位で提供されている。県内56町36村の人口は1万人前後であり、「口コミ」が情報伝達手段である。しかし、中高年齢層の生涯学習意欲やマルチメディア機器類への関心は高く、インターネットの一般利用とこれを利用した「生きがい情報」提供システムが今後の研究課題となった。
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