本研究では、消費者の品質要求に関する調査を効果的・効率的に行うための基礎知識を得ることをねらいとして、様々な消費者の様々な製品に対する品質要求の間に結果としてどのような共通性が存在するのか実証的に明らかにすることを試みた。 消費者の要求品質に影響する主な要因としては、1)製品の違い、2)要求する人の違い、3)製品と人との拘り方の違い、の3つが考えられる。本年度は、昨年度実施した1)及び2)に関する研究の成果を踏まえた上で、3)の「製品と人との拘り方」が品質要求に与える影響について研究を行った。具体的には、日用品と非日用品、携帯品と家庭用品という2つの軸を考えた上で、性質の異なる計9種類の製品を取り上げ、a)贈り物として購入する場合、b)個人用に購入する場合、c)仕事用として購入する場合の3つの立場によって、重視する品質項目がどのように変化するか調査を行った(調査対象は大学生180人)。 結果として、家庭用品や非日用品については、携帯品や日用品に比べて、重視する品質項目が購入時の状況によって大きく変わること、設定した3つの購入状況の中では、贈り物として購入する場合と仕事用として購入する場合の差が最も大きいこと、この差は非日用品で携帯品である製品において特に著しいこと、仕事用として購入する場合と個人用に購入する場合の差は、携帯品で小さく、家庭用品で大きいことなどが分かった。また、製品品質を評価する視点については、重視する品質項目に比べて、3つの購入状況による違いが小さいこと、この結果は製品の種類によらず成り立つことなども分かった。
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