有害廃棄物の発火危険性中、可燃性固体「国連勧告H4.1」の着火危険性を有する、または有すると想定される廃棄物について、着火危険性判定の評価技術確立のための基礎資料を得ることを目的とする。まず金属粉中災害事例の多いアルミニウム粉(AlP、200mesh-)と鉄粉(Fep、100mesh-)を、法指定可燃物である20種のプラスチック粉(60mesh-)を原物質として選び、これらの系の種々の模擬廃棄物試料について、国内法(消防法危険物第2類)の小ガス炎着火試験、七夕密閉式引火点試験、国連勧告H4.1(オレンジブック)の燃焼速度試験に準拠測定し、これらの測定データから評価の差又は違いについて整理し、問題点を明確にする。 併行してデジタル熱量計(OSK-196型)及び理学製高圧示差熱天秤(HDTA-TG、800HB型)燃焼熱量、発熱開始温度、分解温度及び発火温度を測定し、その熱的挙動と評価から判定基準作成の資料とする。 本年度は無機系及び有機系の種々の模擬廃棄物の試料について行った。AlP及びFePに可燃物としてセルロース粉を加えたモデル廃棄物系についての結果は、予測される危険性を示し、両法での評価は一致した。またAlPとFePを混合したものにセルロース粉を混在させたモデル系では激しい危険性を示した。プラスチック20種についてのHDTA-TGの結果中、事故例もある汎用性のポリプロピレンについて示すと、発熱開始温度177℃、分解温度200℃、発火温度201℃、燃焼熱量11287cal/gであった。このものの分解速度を大きくし、潜在的な着火危険性を増大させる混合もモデル廃棄物系として、無機物質を加えた結果中、酸化クロムを混在させると、発火温度が30℃前後低下し、激しい燃焼を起こし大変危険な着火危険性を示した。このことからさらに種々の系について実験を行い、検討し危険性評価法確立のための一助にしたい。
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