研究課題/領域番号 |
06680418
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田谷 英次 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20001654)
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研究分担者 |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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キーワード | 表層雪崩 / 雪崩予知 / 弱層形成 / しもざらめ雪 / 道路雪氷 / つるつる路面 / スパイクタイヤ / 転倒事故 |
研究概要 |
大規模スキー場が各地に開発され、ロープウエーやリフトで常に雪崩の危険がある高所まで大勢の人が簡単に行けるようになった。したがって、近年の雪崩被害はスキー場周辺での登山者やスキーヤの事故が増えている。今冬も北海道や本州山岳で多くの人が雪崩によって犠牲となった。これらの雪崩はいずれも表層雪崩で、犠牲者自身の行動が誘発した雪崩と推定される。表層雪崩の発生には積雪内部の弱層が原因であ、りその形成過程の解明が雪崩予知につながる。北海道各地で弱層調査を行い、あられ、しもざらめ雪、結合の弱い降雪結晶をかなりの頻度で確認した。事故雪崩のあったニセコでは上記3種の顕著な弱層が観察され、同じく事故雪崩のあった日高山系では気象データ解析からしもざらめ雪の弱層形成が推定できた。さらに新潟の観測から北海道ではこれまで観測されなかったぬれざらめ雪の弱層、2000m以上の中央アルプス高山帯では北海道と同様な顕著なしもざらめ雪の弱層がが観測され、いずれも気象データからの予測が可能となった。 平成3年度から札幌ではスパイクタイヤの使用が禁止され、道路は非常にすべりやすい「つるつる路面」が頻繁に発生し大きな社会問題となった。ここでは現場の道路管理者やユーザーが容易に外見で判断できる新しい路面雪氷の分類を行い、その形成メカニズムを提唱した。また札幌を中心とした道路雪氷状況を頻繁に観察し、気象データとの対応から各種道路雪氷の形成メカニズムを検証し、つるつる路面対策の道路管理手法を提言した。スパイクタイヤ禁止以降、つるつる路面は横断歩道にも出現し歩行者の転倒事故も頻発した。すべりによる歩行者の転倒事例と歩行者個人としての転倒事故防止対策を市民からのアンケートにより調査し、転倒の実態を明らかにし、有効な転倒にたいする防衛策を提言した。
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