研究概要 |
近年自然生態系との調和を目指した河川,砂防施設整備の見直しが叫ばれている。 本研究は河道内植生のもつ治水機能を評価しようとするものである。今年度は,茨城県にある小貝川,神奈川県の須雲川,狩川を対象河川としてその実態を調べた。調査中であるが,得られた結果は以下の通りである。 (1)須雲川は,箱根町を流れる早川支流で源流は箱根火山で,関東大震災,豆相地震により,崩壊した土砂で荒廃した急流河川である。古くから砂防施設が入り,両岸,法面,河畔にはケヤキ,イロハモミジ,ツワザクラ等落葉広葉樹を中心に,アラカシ,スタジイ,タブノキ,アオキ等が見られる。潜在植生に近いものも残されており,砂防施設も自然となじんで落ちついた良好な自然や景観が作られている。現在河畔林の機能評価と施設をリフレッシュしてそれをより高める具体的方途を研究中である。 (2)狩川は,源流は同じ箱根火山で,足柄市市街地を流れる酒匂川の支川で急流河川である。23年のアイオン台風で大災を出している。遊歩道が計画されており,濡筋を整備し,ヨシ類を適度に刈り込み水面を視認できるようにする。川緑公園作りと植栽による四季の演出が課題である。現在研究中である。 (3)両河川とも,水路工については治水を骨子として,生態系との調和,魚道と景観も含めたリフレッシュ計画が必要で,なるべく魚道はつけないで魚の跳躍遡上できる2m以内の横工群を考えるのが維持管理上からも景観上からもよい。
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