研究課題/領域番号 |
06680423
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10114696)
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研究分担者 |
梅田 康弘 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10025421)
宮武 隆 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60126183)
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キーワード | 亀裂 / 断層帯 / 地震波 / 強震動 / 破壊 / 相互作用 |
研究概要 |
大地震が繰り返し発生する場所は断層帯とよばれる一種の破砕帯が発達している。地震波の観測から、このような断層帯には、その周りに比べて小亀裂が大変密に分布していることが知られている。このような小亀裂は、大地震の発生直前には応力腐食破壊によりある程度大きくなっていると考えられている。そのような場合、これらの亀裂の間に強い相互作用が生じ、大地震の初期破壊過程に大きな影響を及ぼすはずである。 本研究では、このような立場に立ち、断層帯を小亀裂群が密分布する領域としてモデル化し、まず大地震の初期破壊過程を理論的に考察した。亀裂間の相互作用には破壊を加速する作用と抑制する作用という二つの相反する作用がある。前者は、面内亀裂の密度が高い場合、後者は面外亀裂の密度が高い場合に現れる。大地震の発生直前には一般に地震活動の静穏期が観測されるが、これは相互作用の立場からは、大地震の発生直前には面外亀裂の密度が相対的に高くなっていることを示唆する。このように、面外亀裂の密度が高くなっている場として断層帯をモデル化すると、次のような初期破壊過程の存在が理論的に示される。まず、破壊を抑制する効果初めが卓越しているので、破壊の成長は初めは極めてゆっくりとしたものである。しかし、そのうちに近傍の面内亀裂との合体が起こり、破壊を加速する効果が卓越するようになり高速破壊へと転じる。この高速破壊への転換点からは強い加速度波が放射されることがわかった。これは、地震のブライトスポットという概念をよく説明する。 破壊がさらに成長すると、その前方に副亀裂を励起する可能性が高くなる。数値シミュレーションによると、多くの副亀裂が励起された場合、その内の限られたものだけが成長を続けることがわかった。さらに、副亀裂群の励起が局所的な領域で起きれば強い加速度波が放射されることもわかった。
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