本研究は、火山灰砂、岩屑なだれ、泥流堆積物といった火山性堆積物が分布している地域に、将来地震がおそった場合の液状化発生特性を調べ、今後の防災に役立たせることを目的としている。 このため、平成6年度では、まず、過去の震害報告書や古文書と地質図を照らし合わせて、有史以来、わが国において火山性堆積物が分布している地域で地震時に液状化が発生した事例を調べた。次に液状化を生じた代表的な地区を選定し、現地調査を行い、また、ボーリング等の地盤に関する資料の収集を行った。その結果、北海道南西沖地震で液状化した赤井側地区では、砂礫地盤でも液状化が発生していたこと等が明らかになった。さらに、液状化した層の試料や、シラス、火山灰などを採取し、繰返し三軸試験を行って、液状化強度や間隙水圧のパラメータなども求めた。そして、埋立砂や砂丘砂などに対する既往の実験結果と比較した結果、2次堆積のシラスでは液状化強度が一般の砂質土に比べて小さい事などがわかった。 これに対し、平成7年度には、火砕流堆積物の試験等をさらに追加して実施した。そして、昨年度の実験結果や既往の研究成果を総合して、火山性堆積物どうしの液状化強度特性の比較を行った。その結果、固結している火砕流堆積物では液状化強度は大きいものの、これが2次堆積になると強度が急減することや、岩屑なだれでも粒径分布によっては液状化し易いことなどの定量的な比較を行えた。一方、昨年度抽出した液状化履歴箇所のうち、典型的な履歴箇所として、えびの地震で液状化が発生した箇所を選定し、詳細な地盤調査と液状化層の推定を行った。このために、ボーリング等を現地で行い、また、不攪乱試料を採取して、室内液状化試験等を行った。そして、これらをもとに、液状化解析を行った結果、液状化した層の特徴が明らかになった。
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