研究概要 |
大強度相対論的電子ビームを用いた後進波発振器の安定化発振と発振周波数領域を実験的に調べるため入射電子ビームの形状や分布関数を測定する。当該年度の研究成果を以下に箇条書にまとめる。 1.制御抵抗,波形調整コイルおよびメカニカルスイッチ等で高電圧パルスを制御し,ギャップスイッチを通して電子ビームダイオードに印加することで,立ち上がり時間数10ナノ秒,持続時間数100ナノ秒のパルス電圧が得られ,発振時の電子ビームエネルギー分布関数を安定化できた。 2.電子ビーム分布関数の評価に必要な,電子ビームダイオード部での電圧測定のため静電容量性プローブを製作した。電圧波形,電流波形の解析により,ビームエネルギーの最大値が評価可能となった。 3.環状電子ビームの入射実験では,電流と環状形状の伝パン方向分布を測定した。真空とヘリュウム気体中で測定し環状プラズマ生成を確認した。磁場と垂直方向のビームエネルギーを環状電子ビームの広がりから求めた。 4.X線測定ポート,X線検出器とアンプ系の応答特性を含めたX線解析プログラムは,現在,設計と準備を進めている。これを用いたビームの伝パン特性と分布関数の評価は,平成7年度に行う。 5.本研究では,出力マイクロ波は100ナノ秒程度であるが,マイクロ波測定系の減衰,後進波発振器の出力窓と受診システムとの結合度の精密較正実験を行い,後進波発振器出力電力の絶対値の評価が可能となった。 6.遅波後進波発振器実験において,チェレンコフ発振領域と遅波サイクロトロンメ-ザ動作領域を明らかにした。後者では,従来の後進波発振器やジャイロトロンおよび自由電子レーザとは機構が異なる新しいタイプのマイクロ波源やミリ波源として非常に有望であることが示された。
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