研究概要 |
プラズマ後進波発振器におけるマイクロ波と電子ビームの相互作用を定量的に解析するために,電子ビームの形状やエネルギー分布関数を実験的に評価する。当該年度の成果を以下にまとめる。 1 X線計測では,プラズマ後進波発振器の軸方向と斜め方向の2方向で,X線測定可能な計測系を制作した。ビーム電流値10A〜1kA程度での測定が可能であった。 2 2方向のX線強度比から,使用したX線検出器の感度特性を考慮し,電子の垂直方向と水平方向のエネルギー比を評価する解析プログラムを完成した。2方向の測定であるため,電子ビームの全エネルギーを別の方法で測定する必要がある。 3 X線計測とは独立に,ダイオード印加電圧に対する電子ビーム全エネルギーの測定を磁場を用いた電子ビームエネルギーアナライザーで行うが,そのための取り付け用真空ポートを制作し,信号処理系を準備した。 4 電子ビームエネルギーを変化させ,後進波発振器の発振動作を調べた。通常の後進波発振器動作には,約50keV以上のビームエネルギーが必要であり,チェレンコフ発振に対するスタートエネルギーを実験的に確認した。約35keV程度の低いエネルギー領域では遅波サイクロトロンメ-ザ動作であることが示された。 以上は当該年度で計画していたもので,予定通りに進行した。しかし,高電圧電源,パルス成形線路および磁場コイル系の不調やマシンタイム調整の都合で,ビーム発生実験が予定の通りに実施できなかったため,電子ビーム伝播とエネルギー分布測定が未完成である。パルス成形線路を含めた高電圧回路の調整と準備の後,平成8年10月頃までに測定を完了し,研究成果の取りまとめは同年12月頃の見込みである。
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