平成6年度はネオン様ゲルマニウムの励起エネルギー低減に対する各種パラメーター依存性を測定した。励起レーザー波長1μm、パルス幅100psのダブルパルス照射により波長19.6nmのビーム状(発散角2〜3mrad、出力パワー約1MW)の誘導放出光が観測された。励起レーザーエネルギー低減のため励起パルスの時間間隔を変化し最適値300〜400psを見い出した。励起エネルギーは200〜300Jであり従来の同様なレーザーに比べ大幅に低減すことに成功した。平成7年度はこれらの成果を基礎に新たに短波長化を目指した研究を行った。軟X線レーザー光がプラズマ中で屈折により利得領域から外れるのを防ぐため湾曲ターゲットを用いた。励起パルスは2パルス、3パルス、4パルスとした。各々に強い誘導放出光が観測された。ターゲットの原子番号47の銀から73のタンタルまでの誘導放出光を観測した。波長は14.7nmから4.4nmである。多くの発振線は世界初である。広い範囲のレーザー光の実験的実証とともに励起エネルギー低減の見通しも得られた。すなわち複数パルスによる励起の内レーザー発振の得られる第2パルス以降は同じ強度でパルス幅の狭い励起パルスでよいことがわかった。またニッケル様イオンを得るためのプラズマ温度と電子衝突励起を効率よく行うための電子温度が異なっているのでレーザーパルスも両者を分離して最適化することが望まれる。このためには原子定数から求まる励起定数、緩和時間等を用いた数値モデルによる利得計算が有効であり行った。実験結果を定性的には説明しており短パルス励起実験に向けた基本的パラメターの検討を行い励起システムのテーブルトップ化の見通しが得られた。
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