ウラン(IV)アルコキシドの原料となるUCl_4を、UO_2粉末とCCl_4との反応で合成した。合成法として閉鎖系パイレックス管封入法、閉鎖系昇華沈着法、解放系昇華沈着法の3方法を試みた。このうち閉鎖系及び解放系昇華沈着法では、黄緑色の単結晶を得ることができた。これを粉末化しX線回析を行ったところ、UCl_4であることが確かめられた。 ウラン(IV)アルコキシドは、UCl_4とLi及びNaアルコキシドとの反応で合成した。このうちUCl_4とLiメトキシドとの反応では、Li_2 [U (OCH_3)_6]と思われる薄青緑色のスラリー上の物質が生成した。またUCl_4とLiエトキシドとの反応では、ウランエトキシドの生成は確認できなかった。一方、UCl_4とNaメトキシドとの反応では濃い緑色の沈殿を生じ、上澄み液はほぼ透明であった。この沈殿はU (OCH_3)_4であると思われた。またUCl_4とNaエトキシドとの反応では溶液は黄緑色となり、同色の沈殿が生じた。これはいずれもU (OC_2H_5)_4が合成されたためと思われた。 アルコキシド法によりウラン酸化物微粒子を調製するため、ウランアルコキシドがアルコールに溶解しているウラン(IV)エトキシドのエタノール溶液を使用し、これに微量の水を加えて加水分解を生じさせた。加水分解で生成したウラン酸化物の微粒子を遠心分離で取り出した後、乾燥させSEM観察を行った。その結果、サブミクロンオーダーの粒径が揃ったウラン酸化物微粒子が確認できた。 酸化物の粒子径は、加える水の量、溶液のpH、アルコキシドの濃度、熟成温度等に依存するが、今回はウラン酸化物微粒子がアルコキシド法により調製できることを確認することのみにとどめ、種々の条件の検討は今後の課題とした。
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