長寿命の放射性廃棄物の処理処分の一方法として考えられている消滅処理法の計画を立てるための基礎データとして求められている核反応断面積の測定を計画し、テクネチウム-99の中性子吸収断面積の測定を行った。 これらの放射性核種の断面積測定はターゲットが放射性であるためにターゲット内の目的核種の原子核数の決定が難しく従来信頼できる測定値が少なかった。本研究ではこの点を解決してこの断面積値の信頼できる値を求めようとするものである。 目的核種(テクネチウム-99)はベータ崩壊のみを行って崩壊する。そこでターゲットの原子核数の測定は中性子照射に先立って液体シンチレーション計数法で測定した。この測定ずみのターゲットをポリエチレンの照射容器に入れて立教大学の研究用原子炉で照射した。照射によってテクネチウム-99は中性子吸収を行ってテクネチウム-100となる。この吸収断面積をテクネチウム-100からのガンマ線(540keVおよび591keV)の強度を測定してテクネチウム-100の生成量を求めて決定した。また、カドミウム法を用いて共鳴積分の測定も行った。得られた結果は 熱中性子吸収断面積 = 22.9 ± 1.3 barn 共鳴積分 = 398 ± 38 barn であった。従来の測定値はちらばっているがそれらに基づく評価値は本研究での測定値とほぼ一致した。
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