マイクロ波共振器を組み込んだクライオスタットを製作し、直径6mmの石英製の模擬ターゲットを使用して固体重水素の再配分の実験を行った。本実験の目的は1)固体重水素内の空洞を満たすガス中に外部よりかけたマイクロ波で放電を点灯するときの放電特性を明らかにすることと、2)空洞部の内面をプラズマが加熱することによって固体重水素内に余分なクラックなどが発生しないこと、3)氷の再配分や、クラックの除去を確認することにある。 その結果、2.45GHz、1.3kWのマイクロ波をパルス幅1msで加えたところ放電による発光強度は0.2msで最大になり、その後、急速に低下することが確認された。これは、氷の内面がプラズマに加熱され、内部の蒸気圧が上がり、放電が停止することで説明が可能である。 パルス幅1msのマイクロ波パルスを5Hzの割合で加えると、1分程度で再配分(均一化)を行うことができた。また、液体が固化する時に体積変化で発生するクラックは1分以内の除去され、透明な固体燃料層を作ることに成功した。また放電停止後も、クラックの発生は認められなかった。 現在模擬ターゲットの壁厚の均一性が良くないのと、外部の対流の影響で、最終的にどの程度まで均一化できるかは議論できない。外部の対流の影響をキャンセルできる様、温度勾配が付けられるようにクライオスタットを改良する必要が有る。
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