研究概要 |
1.トロイダルプラズマにおいて粒子輸送や過渡現象を含めて輸送過程を定量的に解析するために,径方向電界やプラズマ回転等を取り入れた輸送シミュレーションコードを開発した.そして現象論的なピンチ項を取り入れることなく定常密度分布が得られることを示し,さらに実験において観測されている中性粒子ビーム入射に伴う密度分布変化を再現した. 2.ジュール加熱時の定常密度分布のプラズマ電流および温度依存性を調べ,中性密度はプラズマ電流のほぼ2乗に比例し,中心温度に反比例することが示された.実際にはプラズマ電流とともに中心温度が上昇するため,中心密度は大きく変化しないことが確かめられた. 3.セパラトリクス内側の閉じこめられたプラズマだけではなく,スクレイプオフ層のプラズマを含めた解析を行い,粒子リサイクリング率やイオンの軌道損失および周辺部温度が密度分布に与える影響を調べた.その結果、今回調べたパラメータ範囲では主に周辺部の密度分布に影響を与えることが示された. 4.熱輸送の効果を取り入れ,温度分布の時間発展を含めた解析を行った.その結果,現在のモデルでは中心部の加熱によって温度が上昇すると粒子の拡散が増え,密度分布が平坦化されることが示された. 5.トロイダル方向の平行粘性を取り入れることによって,ヘリカル系の輸送解析ができるよう数値計算コードを拡張し,トカマクとの比較を行った.その結果,プラズマの回転および密度分布に大きな影響を与えることが明らかになった. 6.波動加熱や電流駆動を含めた輸送シミュレーションを行うため,波動伝播解析コードや速度分布解析コードとデータ交換できるように数値計算コードを拡張した.
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