研究課題/領域番号 |
06680491
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宗宮 功 京都大学, 工学部, 教授 (60025947)
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研究分担者 |
小野 芳朗 京都大学, 工学部, 講師 (50152541)
津野 洋 京都大学, 工学部, 助教授 (40026315)
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キーワード | 淡水赤潮 / Peridinium / ダム / 集積機構 / 上流端 / 走光性 / 流動 / 抑制対策 |
研究概要 |
1.秋期にPeridiniumによる淡水赤潮が発生している青蓮寺ダムの河川流入部付近に測線を4本設け、各測線で3点、総計12の測定ポイントを設け水域内のPeridinium生物量および水温を、またその内1点にて鉛直方向の流速分布を2時間毎、26時間連続で測定した。またエンクロージャー内に湖水を囲い込み、現場におけるPeridiniumの増殖速度を測定した。観測データより、淡水赤潮が形成されている水域において、Peridinium現存量は夜間に減少し昼間に増加する周期変動を示すことが明らかとなった。この変動は現存量ピーク時の2/3の振幅を持ち、増強による増加分よりも大きかった。流速から推定した観測水域内外へのPeridiniumの輸送量からこの現存量の経時変動を説明することができ、観測水域内のPeridinium現存量の周期変動が、赤潮生物の走光性による垂直移動と流動による移出および移入によって引き起こされることが実証された。 2.現場で赤潮を形成しているPeridinium群集を温度および光強度を制御した水槽に入れ、顕微鏡およびCCDカメラ、VTRを用いて遊泳パターンを観察した。遊泳パターンは大きさと角度を持った遊泳速度ベクトルとして定量化した。遊泳速度ベクトルの大きさは温度上昇とともに増加した。Peridiniumは基本的に光源方向に定位して遊泳したが明確な走光性を示さない個体も存在し、それらは光強度および温度に依存して変動した。これら環境条件の変動に対応した垂直方向での移動速度を予測するために、遊泳速度ベクトルの大きさ、細胞の重力沈降速度並びに群集の中で上昇する個体の割合から構成される垂直移動モデルを構築した。モデルは実測されたPeridinium群集の垂直移動速度を再現し、数式によってPeridiniumの垂直移動能を記述することが可能となった。
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