1.Mieの光散乱理論に基づく粒子光散乱計算コードを整備し、種々のエアロゾル粒子とくに内部、外部混合状態の粒子の光学特性あるいは視程などの計算が可能となった。 2.既存の太陽放射計算コード(LOWTRAN 7)の実用性を、直達および散乱放射量さらに視程の観測値との対比によって検証し、とくに成層圏エアロゾルについて、その粒度分布、粒子濃度、光学特性(複素屈折率)の太陽照射強度に対する影響をみるための数値計算を行った。標準的な粒子の場合、濃度が現在の10倍程度になったときの地表太陽照射強度の減少は約8W/m^2、複素屈折率の影響は実際的に想定される範囲では1W/m^2のオーダーと推算された。 3.いおう成分ガス、とくにDMSについて、そのガスクロマトグラフ、分光光度計、PIXE法による定量性の検討を行い、さらに流通型スモッグチャンバーとバッグにより種々の湿度条件での光化学的粒子生成に関する予備的実験を行って、DMSの粒子転換速度を求めた。転換速度は10^<-4>hr^<-1>のオーダーで2酸化いおうよりもおおむね2桁低くなったがこれについてはなお検討の余地がある。 今後は種々のガスを含む多成分ガス系についての実験を行い、その反応動力学と生成粒子の特性について検討を続行する予定である。
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