1.音環境の計測について 音環境を現代の我々が暮らす都市(札幌)の音と祖先たちが数百万年もの間聞いてきた自然の中(山中)の音を計測し、その時間変化やスペクトルの特徴について解析した。解析した周波数帯域は0〜20kHzで、単指向性および無指向性のマイクを使用した。 測定の結果、自然の中の音のスペクトルの特徴は1kHz付近にレベルのピークを持ち、7〜8kHz付近までなだらかに減少していく。それより高い周波数では一定のレベルでスペクトルが存在していることがわかった。一方、都市の音の特徴はスペクトルが10kHzを超た高周波成分は極めて少ないことである。また、20kHzまで成分がある場合でもそのレベルは周波数が高くなるに従って減少し続けることである。 2.音波のレイトレーシング・プログラムの開発について 音波エネルギーの伝わる道筋(ray)を計算するプログラムを作った。実際の計算は、音波の伝わる大気など伝搬媒質の温度分布、密度分布、風速分布、地形をモデル化し、適当な関数で表現し、音の発信位置、発射方向を決め、本プログラムで逐次計算する。計算式は、Hamiltonの方程式(Ferumatの方程式の微分表現)を積分するものである。計算結果の音波の伝搬経路は水平面及び垂直面に投影し図化することができる。 3.北海道の名音地図について 北海道の名音地図の作成は着手できなかった。日本放送協会(NHK)で国民に地域を代表する音、ふるさとの音、音にまつわる想い出等を募集し始めた。
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