近年、生活圏の拡大と共に水資源となる河川、湖沼、近海漁業の漁場となる湾などの水質の汚濁が問題となっている。水質管理には水域の運動および水温分布などの関連を調べる必要がある。航空機、特にヘリコプターによるリモートセンシングは、観測高度を比較的自由に設定でき、また、あおこや赤潮の発生などの事象の発生に合わせた観測が可能である。 本年度は航空機(ヘリコプター)にデジタルカメラシステムおよびサーモビュアーを搭載し、印旛沼の航空観測を行った。デジタルカメラシステムには、水色観測衛星と同様の分光特性を有するフィルターを搭載した。 また、航空写真の幾何学的補正システムを現有のワークステーション上に構築し、データ間の比較を可能とした。 サーモビュアーによる温度分布の観測は、視野が狭く、また空間分解能が低いため、印旛沼上空約600mから斜に観測した。これらの観測結果は観測点が移動しており、また傾斜しているため、射影変換またはアフィン変換により幾何学的なひずみを補正した。ディジタルカメラによる観測は、空間分解能が高いため、印旛沼の中心から5〜6km離れた点の上空約600〜750mから観測した。傾斜が大きく、また観測中に僅かに移動があるため、スペクトル別の観測結果を比較する必要から、サーモビュアーによる観測と同様に射影変換により地図上に投影した。 水中の植物プランクトンの相対的な濃度分布を求めるため、今回は地表の植生分布図の作成に用いられる植生指標NDUI(Normalized Difference Uegetation Index)を適用した。植物プランクトン濃度への変換アルゴリズムの適用と実測値による検証、観測データの幾何学的な変換の自動化が今後の課題である。
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