1、研究目的 本研究では、魚類の「行動量など」及び「呼吸活性」を有害性判定指標とした実水域の水質監視の可能性を研究しようとしている。 2、本年度の研究実施計画 本年度の研究では、(1)実水域の水質監視目的に合致するようなデータ解析方法(異常応答・反応の検出方法)について検討すると共に、(2)広域的水質監視目的に用い得るように、遠隔地からのデータ伝送方法についても検討する事を目的とした。 3、研究成果 (1)昨年度の研究成果及び研究目的から、供試魚として淡水魚を用いて実際の工場排水処理水への応答性を検討し、目的とする感度をほぼ満たすことを確認した。 (2)データの解析方法に関する検討:ア)平常時の時系列データのランダム変動成分に基づく正常変動範囲の設定(範囲=n)、イ)移動平均値を用いることの効果(m点)、ウ)突発的に発生する異常値の発生頻度を応答評価指標として用いることの効果等について検討した。 その結果、異常値の発生頻度を用いることの効果は大きいものではなかったが、nおよびmを適切に用いることにより検出感度の向上と安定性を確保できることが明かとなった。 (3)データ伝送方法に関する検討;実験室での応答測定データを電話を介して研究室のコンピュータに伝送する実験を行った。その結果、送信費用の問題は残るにしても遠隔地からのデータの伝送は可能である事を確認した。今後は、異常値の検出と送信方法の検討をする必要がある。
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