1、目的 本研究では、魚類の「呼吸活性の変化」や「忌避行動」を評価指標とした水中有害物質の検討を行い、実水域の水質監視への応用の可能性の研究を目的とした。 2、平成6年度の成果 呼吸活性に規則性を持つ淡水魚を用いて、Cd^<2+>やクロロプロピレートへの応答の検討を行った。 (1)傾向変動成分及び周期的変動成分を考慮した解析方法を検討しその有効性を明らかにした。 (2)ブルーギルの呼吸活性は、μg/1オーダーの濃度Cd^+およびクロロプロピレートに応答することが明らかになった。 3、平成7年度の成果 実際の工場排水処理水に対する魚類の呼吸活性の応答性の検討を行と共に、実験過程で発現する「異常応答」の為のデータ解析方法と「データの伝送方法」について検討を行った。 (1)魚類の呼吸活性は、工場廃水処理水の1.0%濃度に応答することが明らかとなった。 (2)呼吸許容変動範囲設定幅の拡大は、検出精度を高める効果を持つことが認められた。 (3)なお、作成したデータ伝送システムは期待通りの機能を発揮しなかったので、改造をおこなった。 平成8年度の成果 魚類行動(行動量や忌避・誘引行動)の画像処理の適用の可能性について検討した。また、有害物質以外の一般水質項目への呼吸活性の応答性について検討した。 (1)メダカは、0.001mg/1のCd^<2+>に対して応答することが明らかとなった。 (2)しかし、平常時の行動域分布の設定方法が重要であることも明らかとなった。 (3)魚類の呼吸活性は、伝導度などの一般水質項目にも応答する事が明らかになった。
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