研究概要 |
本年度においては、ニューラルネットワークによって、沿岸域での環境因子評価が、どの程度可能であるか、実用化への可能性について検討を行なった。具体的な事例として、琵琶湖におけるヨシ地の造成事業での現地調査資料ならびに宮城県でのエゾアワビの生息場造成事業での調査資料を用いた。ニューラルネットによる環境評価は、まず、上記、2事例の環境データのうち、約90%程度を、ネットワークの学習用データとして抽出し、残りの10%の環境データを検定用として残した。ネットワークによる学習は、5000回〜20,000回とし、ネットワークの形態を、3層モデル、4層および5層モデルの間で、変化させ、検証用データに対する認識率(正解率)を調べた。その結果、5層モデルによるネットワークの認識率が最も高く、すべての検証用データに対する正解率は100%となることがわかった。なおネットワークでの学習は、いずれもパックプロバケーション法を採用し階層型ネットワークのみを使用した。これらの結果から、いずれの地点のデータに対しても、ニューラルネットワークによる環境因子評価は、ネットワークの形態を正しく設定することにより、きわめて有効に行なわれることがわかった。また本手法は、従来、定性的評価でとどまっていた環境評価に、定量的評価への道を開いたことになり、今後、さらに、研究を進めて、定量的環境評価への手法を確 させるとともに、実用化する必要性が明らかとなった。
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