研究課題/領域番号 |
06680509
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
富吉 冨貴代 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20035819)
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研究分担者 |
小山 保夫 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (80214229)
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キーワード | 有機金属化合物 / 神経毒性 / 膜イオン透過性 / 蛍光プローブ / fluo-3 / ethidium / フローサイトメーター / レーザー共焦点顕微鏡 |
研究概要 |
有機水銀(methylmercury)と有機錫(tri-n-butyltin)の神経細胞の細胞内Caイオン動態に対する影響を細胞膜の選択的な透過性への影響から検討し、以下の実験成績を得た。 (1)Methlymercuryを小脳顆粒細胞に適用すると、1μM以上の濃度からfluo-3蛍光の増強(細胞内Caイオン濃度上昇)が観察された。Methylmercury3μM添加により、2相性のfluo-3蛍光強度の増強を示す細胞と1相性の細胞が観察された。これらの細胞の蛍光変化を同じ細胞でethidium蛍光の変化として観察すると、2相性変化を示した細胞ではethidium蛍光の増強を起こした。一方、1相性の細胞ではethidium蛍光は観察されなかった。よって、2相性の細胞では、膜透過性の変化が起こっている事が予想された。現時点では、細胞内Caイオンの持続的上昇が二次的に細胞膜の透過性変化を起こしているのか、あるいはmethylmercury自体が細胞膜の透過性変化を起こすのか、不明である。(2)methylmercuryによる細胞内Caイオン濃度上昇は細胞外のCaイオンを除去した場合でも起こるので、細胞内Caストアからの遊離と考えられた。(3)2相性の細胞内Caイオン上昇を起こした細胞では、水泡形成が起こった。この水泡形成もethidium蛍光の増強の後に起こっており、細胞膜の透過性亢進を契機にしている可能性が考えられた。特に、細胞内と水泡内ではfluo-3蛍光に蛍光強度の差が観察され、細胞内と水泡内部ではfluo-3の濃度差ができている事が示唆され、これは細胞内と水泡内は何らかの膜により区分されていると考えられた。(4)tri-n-butyltinでは、2相性の蛍光変化は観察されなかった。
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