研究概要 |
鉛汚染の指標としてのコイ血液中5-アミノレブリン酸脱水酵素(ALA-D)を,野外調査に応用するために,平成6年度ではALA-Dについて,(1)水銀を用いない活性測定法の開発,(2)血液保存法の確率,(3)活性標準化法の確率,を研究目的とした。 その結果,(1)水銀を用いない測定法:血液反応液に7%トリクロロ酢酸溶液を加え,添加直後,10および20分後の3回撹はんし,10分間放置すると,従来法(Hg含有)と同様な活性値が得られ,水銀を用いない測定法が開発できた。この成果は日本水産学会の英文雑誌Fisheries Scienceの61巻1号(1995)に掲載される。(2)血液保存法:コイ血液を氷中に保存すると,ALA-D活性は20日間安定であった。また,ドライアイスや低温(4℃)に保存しても4日間は安定であった。鉛曝露したコイの種々の活性レベルを有する血液についても,ドライアイス,氷および低温(4℃)に保存すると,4日後でもALA-Dは安定であることを,確認した。(3)活性標準化法:保存血液のヘマクリット測定は不可能なので,慣例となっていた赤血球(RBC)ml当りでの活性標準化はできない。しかし,血液(blood)ml当りでの活性標準化でも,そのALA-D値から鉛汚染の評価は可能である。また,データーは少ないが,鉛曝露したコイ血液のALA-D活性測定の結果から,次の換算式が成り立つようである。 nmol PBG/RBC ml/h=3.6×nmol PBG/blood ml/h 以上今年度の検討結果から,コイ血中ALA-Dを鉛汚染に関する野外研究に応用することが可能となった。
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