研究概要 |
難溶性粒子状及び繊維状物質の生体影響を評価する目的で、臓器特異的細胞毒性の指標として、UICCアスベストとシリカによるヒト肺胞マクロファージの各種サイトカインと細胞増殖因子の産生とその放出量を培養システムで検討した。 1.IL-8、MIP-α,TNF-αはアスベスト添加により細胞内含量、放出量は共に増加し、その程度はクリソタイル<アモサイト<クロシドライトの順であった。 2.IL-1αは、アスベスト添加により細胞外液中で上昇したがクリソタイル、アモサイト、クロシドライト間での差は明確ではなかった。細胞内IL-1αは、細胞外液中の3-5倍高値を示し、その程度はクリソタイル<アモサイト<クロシドライトの順であった。 3.FGFは、対照群、アスベスト添加群ともに細胞内・細胞外液中では検出されなかった。 4.TGFβ1,TGFβ2の細胞内・細胞外含有量には、アスベスト添加による明確な増減は認めなかった。 5.シリカ添加によりIL-8の上昇を認めたが、MIP-1αの有意な増加は認めなかった。 6.LDH,β-glucuronidase活性及びMTT法による細胞障害性試験法と同様に肺胞マクロファージ由来のサイトカインであるIL-8,MIP-1α,TNF-αを測定する試験法は、特異性、感度共に良好であり、かつ簡易に測定できることから鉱物繊維の安全評価法の一つとして有用である可能性が示唆された。 今後、アスベスト代替品である新鉱物繊維を用いて試験を行ないUICCアスベストとの比較評価を行なう予定である。
|