研究概要 |
自動車から排出される汚濁物のうち雨水に押し流されあるいは溶出して流れ出してくる分を計測した。測定対象となる化学指標は、従来の研究よりCOD,T-N,T-PとpH,SSを選び、研究室にある既存の機器を用いて分析した。選定した道路は、一般的な有料(高速)道路として中国自動車道の神戸三田インターチェンジから神戸市中心地に抜ける神戸市道路公社の六甲北有料道路である。降雨量のデータは神戸海洋気象台から、交通量は道路公社から入手した。 測定は、降雨日に行うので測定間隔は不定期となり自動車の通行量もランダムとなる。COD濃度を例にデータを見ると通行量が約4万台で50mg/l、約5万台で70mg/l、約6万台で90mg/lと汚濁負荷が線形に増加していることが判った。汚濁負荷量と通過交通量の関係を他の化学指標と共にモデル化して計算すると、小型車一台当たり排出するCOD量は0.971mgで、大型車は同6.60mgと7倍弱の負荷量を排出することが判明した。総窒素と総リンは、汚濁負荷量と通過交通量との間には明確な線形関係はないが、上記モデルに入れて計算すると総窒素の場合、一台の排出量で小型車の場合0.025mgに対して大型車で0.089mgと約3.6倍の排出量が、総リンでは同0.002mgと0.014mgと大型車が7.3倍であることが算出された。SS(固形物)は、タイヤの削りかすなど自動車から直接排出されるよりも舗装路面の剥離により流出してくるものが目立った。測定対象道路を一般的な高速道路とみなして、全国の主要高速道の一日当たりの汚濁移出量の推算を現在行っている。
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