研究概要 |
海産性硝化汚泥の揮発性脂肪族塩素化炭化水素分解能力について検討し、海産性硝化汚泥がクロロホルム(CF)、トリクロロエチレン(TCE)、1,1,2-トリクロロエタン(1,1,2-TCA),1,1,2,2-テトラクロロエタン(PCA)を分解する能力を有するものの、塩素置換度の高い1,1,1-テトラクロロエタン(1,1,1-TCA)、テトラクロロエチレン(PCE)を分解する能力を有していないことを明らかにした。海産性硝化汚泥によるCF、TCE、1,1,2-TCA、PCAの分解には、海産性硝化汚泥にとっての主基質であるアンモニアの存在が必要であった。海産性硝化汚泥により好気条件下で四塩化炭素(CT)が分解されることを認めたが、これは海産性硝化汚泥中に棲息する嫌気性細菌の働きによるものであることを明らかにした。海産性硝化汚泥以外の各種汚泥を用いてCTの微生物分解を検討し、CTが自然界に広く分布する嫌気性細菌によって容易に分解されることを認めた。海産性硝化汚泥による各種揮発性脂肪族塩素化炭化水素の分解をその分解性、硝化阻害効果から、4つのタイプに分類できることを提案した。 ポリビニールアルコール(PVA)で固定化した海産性硝化汚泥を用いて、海面ゴミ埋め立て地余水の連続硝化試験を行い、硝化と並行して余水中に含まれるプラスチックの可塑剤であるリン酸トリエステル類がどのように除去されるかを検討した。その結果、溶解性の高いリン酸トリエステルである、リン酸トリス(2-クロロエチル)(TCEP)、リン酸トリス(β-クロロプロピル)(TCPP)が高い効率で除去されることを明らかにした。リン酸トリエステル類のPVAビーズによる吸着を考慮しても、溶解性の高いリン酸トリエステルであるTCEP、TCPPは海産性硝化汚泥によって分解されていることを確認し、余水の硝化処理と並行してリン酸トリエステルの分解除去が可能であることを明らかにした。
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