平成6年度に好気条件での生物ろ過処理法の処理特性を明かにしたので、平成7年度は、嫌気処理を組み込んだ嫌気/好気運転における生物ろ過の処理特性について検討した。装置は嫌気反応槽3槽と好気反応槽1槽を連結し、好気反応槽流出水を嫌気第1反応槽にもどす循環運転とした。処理対象排水として生活雑排水を想定し、従来生活雑排水処理に用いられてきた嫌気ろ床、接触曝気法(従来法)との比較を行った。 その結果、生物ろ過法は汚泥の付着状態に特徴があることがわかった。従来法では嫌気槽での汚泥の存在状態は嫌気第1槽から3槽にかけて徐々に減少する傾向にあったが、生物ろ過処理では、この傾向がさらに顕著となり、嫌気第1槽の排水流入口付近に極めて多量の汚泥が集積していることがわかった。これは、生物ろ過槽の汚泥補捉力が極めて強いためと推定された。しかし、有機物、窒素の処理能力自体は両処理法で大きな違いはなかった。次に懸濁物質の処理能力を比較すると、先に示した生物ろ過法の汚泥補捉能力のために生物ろ過法が極めて高い処理能力を示した。しかし、生物ろ過法はその高い懸濁物質ろ過能力のために、汚泥、懸濁物質の蓄積による損失水頭の増加が著しく、逆洗頻度が高めなければならないという欠点が明かとなった。
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