研究概要 |
環境中に蓄積しているダイオキシン類の実態を明らかにする目的で,松山平野を研究対象として調査している.今年はその2年目で,必要な試料はほぼ取り終えることができた.これらの研究結果は暫時学会を通して報告して行くが,今回までの結果から新しい課題を見つけることができたのでその概要を報告する. 環境中のダイオキシン類の分布と挙動について明らかになって来た中の一つの発見はPCDDsとPCDFsで環境挙動が異なるという事実である. ダイオキシン類210種類の異性体の中で2378体のダイオキシン類が優先的に残留蓄積するというのが定説になっていたが,今回の調査結果では2378-体以外の異性体(以下これらを非2378-体と略称)が松山平野のすべての池から採った魚中から検出した.PCDDsではこのような傾向はなく,すべて2378-体のみが蓄積するのに対して特異的な傾向であると判断した.これまでPCDDsとPCDFsは同じ環境挙動をすると考え一括して取り扱って来たが,今回の結果はPCDDsとPCDFsを別々に評価する必要があることを示唆していると考える. この他,これまでの調査結果から得られた重要な知見は,松山平野のすべての試料からダイオキシン類が検出している点である.しかも,その大部分は燃焼系由来のダイオキシン類組成を示しており,次第に増加している傾向が伺われる.松山市の都市ごみ焼却場は現状では最高の性能を有する機種が設置してあるため,本平野部の汚染源と考えるのは困難である.今回の調査結果がすべて集計され,実態が解明できれば汚染の位置,種類が推定でき汚染レベルの低減を図ることができると期待している. 本研究結果は本年6月の環境化学会では本研究の一部を口頭発表する予定である.
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