研究概要 |
1.底質の酸素消費速度に及ぼす流れの影響のモデル化(中村,小松,朝位) 平板乱流境界層における物質輸送理論は、伝熱工学、化学工学等の分野の業績があり、これらを、水底質界面に適用し、水理学的滑面でのモデル化をおこなった。第一に、Deisslerによるアナロジー理論を水底泥界面直上の乱流境界層に適用して、平滑面における乱流輸送のモデル化を行った。しかしながら、幅広いシュミット数での報告値と比較したところ、Deissler理論から導かれる関係式ではこれらのデータの傾向を全て説明する事はできない事が明らかとなった。そのため、乱流モデルの考え方を用いて乱流特性量の壁面近傍における漸近挙動を解析した結果、従来の実験結果をうまく説明できる様な修正が可能となった。粗面における物質輸送に関しては、cavity modelの考え方を応用し、粗度高さが物質輸送速度に及ぼす影響について、モデル化をおこなった。 2.水理実験(中村) 矩形断面水路を用いて、ポンプで水を循環させたクローズドシステムの実験系を作成した。水路は長さ2.5mで、一部に底泥を敷く部分を1.0mの長さに設置してある。水温を一定に保ち、流速を5段階に変化させ、溶存酸素濃度をモニタリングする事により底泥の酸素消費速度を求めた。また、適当な時間間隔でサンプリングする事によりリンの溶出速度も求めた。その結果を1.のモデルと比較したところ、滑面条件ではモデルは実験値を良く再現できる事が分かった。粗面については今後系統的な実験が必要である。
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