研究概要 |
我々は見いだした不斉付加型Pummerer反応を神経伝達阻害作用を有するアルカロイドであるhistrionicotoxin類(1)の不斉合成へ応用するため,先ず光学活性な5員環ビニルスルホキシド(2)を合成し,これに対する付加型Pummerer反応を検討した結果,付加体(3)を収率63%,光学収率90%e.e.で得ることができた.絶対配置に関しては先の知見から類推されるが,確認のため抗菌活性天然物(+)-malyngolide(4)へ導くことにより付加体(3)の不斉炭素はS配置と決定した. 次に,絶対配置の決定した3をperhydrohistrionicotoxinへと導くためにシクロヘキサン環の立体選択的構築にとりかかった.3をアルデヒド(5)へ導き,このものをMe2AlClを触媒とするカルボニル-エン反応により求める水酸基とブテニル基とがトランスに配置された化合物(7)を得ようとしたが,生成物は予想に反しシス体(6)であった.現在,この結果の検討と,7への選択的な閉環反応を検討中である.
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