アフリカマイマイ神経節由来のD-アミノ酸を含むペプチドfulicil(Phe-D-Asn-Glu-Phe-Leu-NH_2)の前駆体をコードするcDNAをクローン化した。前駆体蛋白質は、1コピーのfulicinと予測される9つのC-端アミド化ペプチド(fulicin gene-related peptide;FGRP)を含んでいた。これらの内、FGRP-9(Tyr-Ala-Glu-Phe-Leu-NH_2)は、第二残基がD-Alaであればfulicinと類似の生物活性を持つと予測された。合成した[D-Ala^2]FGRP-9は、マイマイのペニス牽引筋のアッセイでfulicinとほぼ同じ強さの活性を示した。[D-Ala^2]FGRP-9の構造は、Leu-enkephalinの強力なアゴニストであるDALEA(Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu-NH_2)と第三残基を除いて同一である。μ-レセプターに対する活性は、第一残基のTyrと第三残基のGlyが必須であることはよく知られているが、構造の類似性からfulicinやFGRPの中には、enkephalin様の活性を示すものがあるのではないかと考えた。そこで、fulicin、FGRPおよびそれらのアナログペプチドを合成し、マウス輸精管、モルモット回腸、およびウサギ輸精管を用いるオピオイドペプチドアッセイおよびラット脳のμ-、δ-、およびκ-レセプターに対する結合アッセイを行った。11個のアナログペプチドの内、9個が活性を示し、特に2個のFGRP(Tyr-Asp-Phe-Ile-NH_2、Ser-Pro-Tyr-Tyr-Phe-Leu-NH_2)がκ-タイプのウサギ輸精管に強い活性を示した。結合アッテイでは5個のアナログペプチドがμ-、δ-、およびκ-レセプターに結合した。
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