(1)CaMキナーゼIVのリン酸化による活性調節:以前、カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIV(CaMKIV)は自己リン酸化により活性化されると考えられていたが、CaMKIV精製標品中に共存するCaMKIVキナーゼによる活性化であることが明らかになった。CaMKIV上のリン酸化部位としては、N末端に近い複数のSer残基と、Thr^<196>と、C末端に近いSer^<437>とが同定されたが、これらのうち、本酵素の活性化に関与する部位は、最近の結果ではThr^<196>と考えられている。このようにCaMKIVは様々なプロテインキナーゼやプロテインホスファターゼとのクロストークを介した活性調節を受けることが次第に明らかになってきた。そこで今回、CaMKIVを中心としたクロストークを解析する目的で新しいゲル内リン酸化法を開発した。この方法は標的タンパクのリン酸化部位周辺のペプチドをデザインし、ゲル内でその基質に特異的なプロテインキナーゼを検索できるすぐれた方法であり、プロテインキナーゼを介したシグナル伝達の流れを解明するための有力な手段となるものと期待される。(2)ラット大脳から単離精製されたCaMBP64のリン酸化部位の解析と遺伝子クローニング:ラット大脳からCaMKIVを精製する過程で新たなCaM結合タンパク質(CaMBP64)が単離された。このタンパク質はCaMキナーゼIIならびにcAMP依存性プロテインキナーゼによりリン酸化され、その主要リン酸化部位周辺のアミノ酸配列は、SQPSFQWRQPSLDVDVGDであることがわかった。さらにこのタンパクの遺伝子クローニングを行ない、535の全アミノ酸配列を決定したところ、CaMBP64は63kDaCaM依存性ホスホジエステラーゼのラットアイソフォームであることが明らかになった。
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